半世紀ほど前のアニメで、原作には出てこない友達ジョルジュとポール兄弟や、近隣の世話焼きヌレットおばさんなどを描き物語に柔軟さを持たせている。
しかし、おじいさんと二人だけの貧しい暮らしの中、幼馴染のアロアとの仲を村の権力者である父親に裂かれて冷遇されたり、最終的にはおじいさんが死んで天涯孤独になったネロの支えは犬のパトラッシュ一択となり、孤独と寒さと飢えに絶望し、教会で憧れの画家の絵を観ながら息を引き取るというあまりに悲惨な結末は変わらない。
ネロとパトラッシュは安らかに天国へ行ったという終わり方だが、生きていてこれほど苦しかったのに希望のないまま死なせてしまうのは観ているこちらも辛くて苦しい。
原作を読んだのは小学校高学年の頃。出だしからパトラッシュが前の飼い主だった金物屋に鞭打たれ、暑い夏の最中倒れるという展開に心を痛め、更に最後は命の恩人ネロにつかえ、一緒にあの世へ旅立つという結末に心がざわついた。
昔話、特に世界の名作児童文学の主人公らは得てしてみなしごだったり、いじめや差別を受けるという過酷な境遇に耐えている。しかし、その苦難を乗り越え、最後には幸せを手にするというハッピーエンドに救われてきた。
ただ、このフランダースの犬の著者は決して不幸物語が好きなわけでもないとは思う。
人の冷たさ、傲慢な現実を表現することで社会の在り方を変えたかったのかなとは理解できる。
でも、やはりネロとパトラッシュには幸せでいてほしかったというのが本音かな。